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栄養不良が原因で毎年250万人の子どもが死亡していることをご存知でしょうか?

 

「栄養不良」という言葉は聞きなれないかもしれませんが、栄養分の摂取不足や病気などが原因で発育が妨げられ、また様々な健康の問題が生じる状態のことをいいます。栄養不良の子どもは病気にかかりやすく、また一端かかると回復しにくいため死亡するリスクが高くなりますまた、また、子どものときに慢性的な栄養不良(年齢に対して身長が低い状態)になると、子どもの身体的・認知的な発達を妨げられ、その影響は生涯にわたることがわかっています。そして、人口全体ではこれが一国の経済・社会開発に大きな影響を与えることになってしまいます。たとえば、栄養不良の子どもは、そうでない子どもと比べて将来得られる収入が最大20%も低くなり、経済成長に最大3%にも及ぶ損失を与えると推定されています。

 

 

栄養不良って一体何ですか?

 

栄養が不足している状態(低栄養)と逆に過剰な状態(栄養過多)が栄養不良といわれます。低栄養は世界で最も深刻で未解決な健康問題であり、社会問題でもありますが、その発現の仕方によっていくつかのタイプ(急性栄養不良、慢性栄養不良、微量栄養素欠乏、母親の低栄養、低体重出産など)に分類されます。

 

急性の栄養不良とは?

 

短期間に急激に体重が減少したり、体重が十分に増加しないことの結果として、身長に対しての体重少ない状態(いわゆる消耗症)または圧痕浮腫という形で発現します。消耗症の原因は、摂取する食糧が不足したり、病気、育児ケアや食事の与え方が適切でなかったりすることで、離乳食をはじめる時期でもあり、感染症にかかりやすい幼児期に多く起こります。

 

慢性の栄養不良とは?

 

長期間にわたるか繰り返される栄養の欠乏によって引き起こされる発育阻害で、低身長(年齢に対して身長が低い状態)という形で発現します。低身長は栄養状態の悪さが長い期間にわたり蓄積した結果発現するため、慢性栄養不良とされる所以です。胎内での発育阻害の結果として引き起こされる場合が多いのすが、幼少期に繰り返し感染症や他の病気に罹ることでも発育が阻害されます。最初の1,000日間(妊娠か出世以後24ヶ月まで)は子どもの発達にとって最も重要な時期であり、妊娠時の母親の健康状態と産後数ヶ月間が子どもの正常な発育に与える栄養を考えることが重要です。一般的に、発育阻害は貧困、ジェンダー差別、食糧へのアクセスの悪さ、保健サービス、教育、知識不足などに起因します。

 

微量栄養素欠乏とは?

 

身体が十分なビタミンやミネラルを保持していない結果として引き起こされ、摂取する栄養が十分でなかったり、摂取されても十分に吸収されなかったり、吸収されても身体に利用されなかったりすることが原因になります。

 

母親の低栄養とは?

 

妊娠の前後と妊娠期間中の母体の栄養状態低下で、BMI指数や微量栄養素欠乏の形で発現します。

 

低体重出産とは?

 

出生体重が極端に少ない(2,500グラム以下)の出産のことです。

 

低体重栄養不良とは?

 

急性と慢性の栄養不良の組み合わせであり、年齢に対して体重が少ない状態により発現すします。

 

世界には何人くらいの栄養不良児がいるのでしょうか?

 

  • 1億1千5百万人の5才未満児が低体重栄養不良です。

  • 1億8千6百万人の5歳未満児が発育阻害です。

  • 1千3百万人が胎内発育阻害または早産による未熟児として出産しています。

  • 5千500万人の子どもが急性栄養不良で、そのうち1,900万人が重度の急性栄養不良です。

  •  20億人以上が主にビタミンA、鉄、ヨウド、亜鉛などの微量栄養素欠乏です

 

栄養不良になるとどんな影響があるのでしょうか?

 

学齢期前の子どもの死亡のほぼ3分の一の原因となっています。地球規模の疾病負荷の11%が母子栄養不良とされています。栄養不良は身体及び知能の発育に長期的な影響を及ぼします。2才以下で慢性栄養不良になり、2~3才までに回復されないと一般的には元に戻れないとされ、その影響は生涯に及びます。慢性栄養不良の子どもは衰弱し、そのため健康な子どもより死亡リスクが高くなります。また、成人になっても発育上の障害を伴う脆弱さを抱える大人になってしまいます。これが人口全体レベルでは教育の成果や経済活動、体力、農業生産性などに影響し、社会の開発能力を制限し、貧困が世代を超えて浸透してゆきます。さらに、子どものころに栄養不良だった女性は母体および幼児の死亡リスク、低体重出産のリスクが高まります。

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